『天使のたまご』 アート映画風日本のアニメ
最新作の実写版『パトレイバー』も話題の世界的評価の高い押井守監督の異色作『天使のたまご』。スペイン映画『パンズ・ラビリンス』のようなダークファンタジーの系譜にあたるヘンテコな作品である。
なんでもこの『天使のたまご』、ワケわからなすぎて、押井監督がその後5年間仕事を干されてしまったとか?
この前後の作品が『うる星やつら』から『パトレイバー』なので、かなり脂ののってる頃の作品でしょう。日本ではこういったアート映画や実験映画は今も昔も理解されないでしょうね。むしろよく作らせてもらえたなと思います。
自分がはじめてこの作品を観たのは中学生の頃。ワケわからなさに衝撃を受けました。
この作品に大きな影響を与えたタルコフスキーやジャン・コクトーもポーランド映画も知らなかった頃なので、非常にショックを受けた記憶があります。チューボーなりに名作だと感じてました。
だからこそ効果音とかが、日本のアニメ的なのに違和感を感じていました。
モチーフになっているのも聖書のノアの方舟の後の世界だったりして、とても悪夢的。というより当時、この映画のせいで悪夢みたと思います。(笑)
ここでの聖書の引用は信仰心からくるものではなく、学問としてキリスト教を研究してしまった人のひとつの解釈。
結局、後の押井監督の『攻殻機動隊』や『イノセンス』みたいな世界的に人気のある作品のルーツが『天使のたまご』にはたくさん隠れています。
この不気味さはクセになるんだけどな。まあ人にはあまり勧められない作品ではあるけれど。
関連記事
-
-
『かぐや姫の物語』 かの姫はセレブの国からやってきた
先日テレビで放送した『かぐや姫の物語』。 録画しておこうかと自分が提案したら家族が猛反
-
-
『トロピック・サンダー』映画稼業はいばらの道よ
ベン・ステラーが監督主演したハリウッドの裏側をおちょくったコメディ映画『トロピック・サンダー
-
-
『のだめカンタービレ』 約束された道だけど
久しぶりにマンガの『のだめカンタービレ』が読みたくなった。昨年の2021年が連載開始20周年
-
-
『鬼滅の刃 無限列車編』 映画が日本を変えた。世界はどうみてる?
『鬼滅の刃』の存在を初めて知ったのは仕事先。同年代のお子さんがいる方から、いま子どもたちの間
-
-
『ターミネーター2』 メジャーだって悪くない!!
今年の映画業界はビッグネームの続編やリメイク・リブート作で目白押し。離れてしまったかつての映
-
-
『風立ちぬ』 招かざる未来に備えて
なんとも不安な気分にさせる映画です。 悪夢から覚めて、夢の内容は忘れても、 ただただ不安
-
-
『タクシー運転手』深刻なテーマを軽く触れること
韓国映画の『タクシー運転手』が話題になっている。1980年に起こった光州事件をもとに描いたエ
-
-
『プリキュアシリーズ』 女児たちが憧れる厨二
この『プリキュアシリーズ』 今年は10周年との事。 ウチの幼稚園の娘も大好きで、 何度
-
-
日本のアニメ、実は海外ではさほど売れてない
今国策として『クールジャパン』の名のもと、 日本のカウンターカルチャーを 世
-
-
『ドラゴンボールZ 復活の「F」』 作者にインスパイアさせた曲
正直に言ってしまうと自分は 『ドラゴンボール』はよく知らない。 鳥山明氏の作品は『Dr.