『さよなら銀河鉄道999』 見込みのある若者と後押しする大人
自分は若い時から年上が好きだった。もちろん軽蔑すべき人もいたけれど、自分の人生に大きく影響を与えた尊敬すべき人生の先輩との出会いは、自分の人生の宝。
人間誰しもそういった年長者たちとの出会いがあるものだと思っていたが、どうやら背中をみせてくれる大人との出会いがないまま、中年になってしまった人も意外と多くて愕然としてしまいます。どうやら人との出会いも才能のひとつらしい。
自分が20代はじめに入った会社では、社長をはじめ中堅社員から厳しく教育をされたものです。厳しいがゆえ「なんで自分ばかりが!」と上司達を恨みもしましたが、なんとなくこれに従うべきだと感覚的に理解していました。自分はその会社は辞めてしまったけれど、そのとき一緒にスパルタ教育されていたもうひとりの同僚は、いまその会社の社長になっています。今になって思うと、あのとき上司達は自分を見込んでくれていたのかも知れません。
アニメ映画『さよなら銀河鉄道999』。前作のヒットを受けてのスタッフキャスト再結成の作品。原作にもなかった、旅のその後の世界。機械化人間と生身の人間が全面戦争をしている。
前作で栄華を極めた未来都市も廃墟となる激戦地と化している事に驚く。この未来描写は後の『ターミネーター』にも影響を与えているだろう。
どうやら人間は機械化人間との戦いに劣勢。主人公・鉄郎も反乱軍の最年少兵として戦っている。そんな中、鉄郎は旅立ちを決意する。そこで先輩レジスタンス達は命がけで鉄郎を999に乗せるためにステーションへ向かうのです。みんな旅立つ若者・鉄郎の盾になってボロぞうきんのように死んでいくのです。
子どもの頃、鉄郎に感情移入してみているので、主人公は死なずにサブキャラが死んでいくくらいにしか観ていなかったけれど、若者ではなくなった現在、若者の背中を押す大人の方の気持ちで観てしまう。
どうせ負け戦で死ぬのなら、見込みのある若者に託して死んだ方がいい。
そろそろ継承を考える時期かとぼやいたら、人にまだ早いって笑われちゃいましたけどね。
昔はもっとカッコいい大人がいたのかもしれない。平均寿命ものびて、ずっと若いまま歳ばかり重ねた今の大人たち。果たして自分はカッコいい大人になれているだろうか?
関連記事
-
低予算か大作か?よくわからない映画『クロニクル』
ダメダメ高校生三人組が、未知の物体と遭遇して 超能力を身につけるというSFもの
-
『若草物語(1994年)』本や活字が伝える真理
読書は人生に大切なものだと思っている。だから自分の子どもたちには読書を勧めている。 よ
-
日本も開けてきた?『終戦のエンペラー』
映画『終戦のエンペラー』を観た。 映画自体の出来映えはともかく、 こうい
-
マイケル・ジャクソン、ポップスターの孤独『スリラー』
去る6月25日はキング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンの命日でした。早いこ
-
『誰がこれからのアニメをつくるのか?』さらなる大志を抱けたら
「日本が世界に誇るアニメ」などという手前味噌な恥ずかしいフレーズも、すっかり世の
-
『スノーマン』ファンタジーは死の匂いと共に
4歳になる息子が観たいと選んだのが、レイモンド・ブリッグスの絵本が原作の短編アニメーション『スノーマ
-
『ルパン三世(PART1)』実験精神あればこそ
MXテレビで、いちばん最初の『ルパン三世』の放送が始まった。レストアされて、もの
-
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 そこに自己治癒力はあるのか?
自分はどストライクのガンダム世代。作家の福井晴敏さんの言葉にもあるが、あの頃の小学生男子にと
-
『銀河鉄道の夜』デザインセンスは笑いのセンス
自分の子どもたちには、ある程度児童文学の常識的な知識は持っていて欲しい。マンガばかり読んでい
-
『キングコング 髑髏島の巨神』 映画体験と実体験と
なんどもリブートされている『キングコング』。前回は『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジ
- PREV
- 『めがね』 デジタルデトックスのススメ
- NEXT
- 『ターミネーター2』 メジャーだって悪くない!!