*

戦時中の市井の人々の生活を描く『火垂るの墓』

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 アニメ, 映画:ハ行

 

昨日、集団的自衛権の行使が容認されたとのこと。

これから日本がどうなっていくのか見当もつきませんが、
昨日が日本の近代史に残る日となったのは確かです。

戦後、戦争経験のある作家たちが、
多くの反戦の物語を紡いできました。

その根底にあるのは、戦争に対しての怒り。

これは戦争を体験した人からしか出てこない表現です。
だからこそ反戦のメッセージが強く伝わってきます。

今、戦争経験者が少なくなってしまい、
ある意味、真の反戦作品は描けなくなっているでしょう。

戦争を真剣に取り上げるのにはパワーも要りますし、
観る方もそれなりに覚悟が必要です。

スタジオジブリがつくった『火垂るの墓』。
これは上記の反戦映画とはちょっと趣が異なります。

怒りやメッセージ性というより、
もっとドライなものを感じます。

高畑勲監督は、
戦争中の市井の人々の生活が
どうであったかに視点を置いてます。

空襲を受けるとどうなるか?
飢えて死んでいくとはどういうことか?
戦時中の一般市民の狂気とは?

これらを淡々と調べていった結果が
作品となった感があります。

高畑監督の最新作『かぐや姫の物語』も
竹取物語を研究した解釈の結果論文を
映像でみせられているという印象でした。

戦争中の生活を感情抜きで淡々とみつめていく。

偏った視点ではないので、リベラルな作品になります。
このクールな視点がかえって当時の悲惨な状況を
リアルに伝えてくれるのです。

戦争によって子どもたちが死んでいく本作。
観るのもつらい状況なので、
そうしょっちゅう観たい作品ではありませんが、
一度は観ておかなければいけない作品ではあります。

主人公の兄妹の魂は、
時間を越え延々と彷徨っています。

これが過去の物語で、
未来の物語にならない事を祈ります。

 

関連記事

no image

女児たちの憧れ『プリキュアシリーズ』

  この『プリキュアシリーズ』 今年は10周年との事。 ウチの幼稚園の娘も大好き

記事を読む

no image

大人になれない中年男のメタファー『テッド』

  大ヒットした喋るテディベアが主人公の映画『テッド』。 熊のぬいぐるみとマーク・

記事を読む

no image

『天使のたまご』アート映画をアニメでやった押井守監督の意欲作

  最新作の実写版『パトレイバー』も話題の世界的評価の高い押井守監督の異色作『天使の

記事を読む

no image

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』アメコミみたいなアイツ

トム・クルーズが好きだ! 自分が映画を観るときに、監督で選ぶことはあっても、役者で決めることはほとん

記事を読む

no image

『電車男』オタクだって素直に恋愛したかったはず

  草食男子って、 もう悪い意味でしか使われてないですね。 自分も草食系なんで…

記事を読む

no image

『耳をすませば』リア充映画?現実的な作品なのに

  ジブリアニメ『耳をすませば』は ネット民たちの間では「リア充映画」と 言われ

記事を読む

no image

『ポンヌフの恋人』ボウイを愛した監督・カラックス

  デヴィッド・ボウイの訃報はまったく信じられなかった。1月8日のボウイの誕生日に、

記事を読む

no image

『るろうに剣心』マンガ原作というより、大河ドラマの続編

  自分は実は『るろうに剣心』の マンガもアニメも未見。 でもこの映画を観たいと

記事を読む

no image

『ルパン三世 カリオストロの城』これって番外編だよね?

  『ルパン三世』が30年ぶりに テレビシリーズになるとのことで。 数年前か

記事を読む

no image

『バードマン』あるいはコミック・ヒーローの反乱

  アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の 新作がコメディと聞いて、ま

記事を読む

『ブラックパンサー』伝統文化とサブカルチャー、そしてハリウッドの限界?

♪ブラックパンサー、ブラックパンサー、ときどきピンクだよ〜♫

『ベニスに死す』美は身を滅ぼす?

今話題の映画『ミッドサマー』に、老人となったビョルン・アンドレ

『白洲次郎(テレビドラマ)』自分に正直になること、ズルイと妬まれること

白洲次郎・白洲正子夫妻ってどんな人? 東京郊外ではゆかりの人と

『サトラレ』現実と虚構が繋がるとき

昨年、俳優の八千草薫さんが亡くなられた。八千草さんの代表作には

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』考えずに依存ばかりしてると

クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・

→もっと見る

PAGE TOP ↑